無電柱化に反対?日本の無電柱化がすすまない理由と邪魔な電柱に物申す!
日常的に目にする「電柱」。
あまりにも身近にあり、景色のように存在しています。
この「電柱」の存在について、あらためて考えていきたいと思います。
「無電柱化」とは
「無電柱化」とは、その名のとおり道路上から電柱をなくすことです。
その方法のひとつに、電線共同溝などの設備を道路に埋設し、電線類を収容する事で電柱を道路からなくす方法があります。
これを「電線類地中化」といいます。
他にも、表通りから見えないように配線する「裏配線」などがあります。
日本では、1928年に初めて「電線地中化」が行われました。
兵庫県芦屋市に高級住宅街として造成された六麓荘町において導入されたのです。
無電柱化のメリットは?
景観の改善になる
せっかくの素晴らしい景色や国宝級の建物も、周りに電柱や電線が多く存在する事で景観的な価値が半減します。
絵画のように風景を楽しめることは素敵です。
災害等で倒壊する事がなくなり、防災性の向上につながる
台風で多くの電柱が倒れた、という事もありました。
危険のリスクを減らす事は必要だと言えるでしょう。
地上のスペースが広くなる
電柱を無くす事でスペースができ、歩行者にとっても、車両にとっても安全です。
バリアフリーも確保できます。
地中に埋めるので、電線の保護になる。
電線が傷んだり切れたりするのを防ぐ事が出来ます。
無電柱化のデメリットは?
・ 無電柱化を実現させるためには、設備や作業に莫大なコストがかかる
・ 地中にあるので、電線の故障箇所を特定しづらい
・ 地下設備が破損すれば、復旧するのにとても時間がかかる
・ 冠水等で、作業ができなくなる事態が発生する。
以上のようなデメリットが言われています。
簡単に言うと、経費が多大にかかってしまい、維持管理が大変だ、ということです。
日本においての「無電柱化」の現状は?
ロンドン、パリ、ベルリンなどの欧米の主要都市において「無電柱化」は概成しているのに対して、日本は大きく立ち遅れています。
「無電柱化」と聞いても、何のことかよくわからないという人もたくさんいるのです。
問題提起としては十分にされているにもかかわらず、あまり身近な問題として認知されていないのが、現状と言えるでしょう。
なぜ、「無電柱化」がすすまない?
無電柱化が進まない最大の原因は、莫大な費用です。
無電柱化の工事は1㎞あたり5.3億円かかると言われています。
それに加えて、電柱や電線においての権利関係が非常に複雑である事も、ひとつの理由です。
電話会社や道路の管理者、周辺住民や商店、各監督官庁など、様々な関係各所との足並みをそろえなければすすめられません。
円満に進めていくには、なかなか難しい問題も多くあるのではないでしょうか?
邪魔な電柱に物申す!
電柱や電線が入り乱れているのは景観が悪くなる、といった見た目の問題は予てより提起されています。
そして、ここ数年で特に問題となっているのは、災害時の危険性です。
直接的な被害だけではなく、交通の妨げになるなどの二次災害が問題視されています。
阪神淡路大震災の際には、消防車や救急車の通行を妨げてしまったために、救助や搬送が遅れてしまったという問題も起こっていました。
さらには、交通安全を考えるにおいての問題も多くあります。
歩道や路肩をふさぐように立っている電柱は、歩行者や自転車に乗った人にとっては、大変危険な存在になります。
車両にとっても、道路が狭くなり、死角ができるために大変危険です。
さらに電柱のデメリットについて次のような意見があります。
『車での行き交いが怖い!』
狭いのに一方通行ではない道。
さらに、電柱がたくさん立っている道。
そのような場所を車で通る時に、対向車が来た場合、どうやって行き交うか迷ってしまいます。
電柱の手前で止まるのがベストでしょうが、このタイミングが難しい時が度々あります。
電柱さえ無ければ、と思います。
『急に飛び出さないで!』
電柱は死角を生みます。
予期せぬタイミングで、電柱から人や自転車が飛び出して来てヒヤッとした経験があるという人は多いです。
大事故になりかねません。
気をつけなければならないと思います。
『衛生的な問題』
電柱といえば、犬がオシッコをする場所というイメージがあります。
実際に、そういう光景を目にします。
きちんと洗い流すなどして適切に処理する飼い主さんならいいのですが、放ったらかしにしている様子もよく目にします。
これは電柱ではなく、マナーの問題だといえるのですが、電柱に対しての印象が悪くなる要因のひとつだという事です。
風情がなくなるのも寂しいですね
無電柱化が進むと、昔ながらの風景がなくなります。
それは少し寂しい気もします。
見上げた空と電線の綺麗なコントラストや、電線に並ぶスズメを見る事も減ってしまうのでしょうか。
危険を回避したり、様々な問題を効率化するためには仕方のないことなのでしょうね。