母乳はなぜ疲れるのでしょうか?
母乳をあげるのは、実はとてもエネルギーがいる行為です。
それを毎日しているのだから、疲れるのは当然のことなのです。
出産という大仕事を終えた女性に待っているのは、次の使命「授乳」です。
肉体的にも精神的にもクタクタになった産後すぐに、赤ちゃんに母乳を飲ませる病院がほとんどでしょう。
出産を終えて初めて出る母乳を「初乳」と言い、黄みがかった濃い白色をしています。
これには、免疫力を高める効果があるので、生まれてすぐの赤ちゃんに飲ませるのが望ましいとされています。
その後、時間が経つにつれて胸が張ってきて、母乳が溜まっていきます。
そして、いよいよ授乳生活のスタートです。
母乳に関しては、考え方が様々あるでしょう。
今と昔でも違いはあるかと思います。
「絶対に母乳で育てる!」
「あまり、母乳育児はしたくない。早めにミルクに切り替えたい」
それぞれの考え方があって良いですし、各自が1番良いと思う判断をすれば良い事でしょう。
今回は、母乳育児をしている人の「母乳疲れ」についてお話していきたいと思います。
◯ 「母乳疲れ」とは?
赤ちゃんに母乳をあげているママが、精神的に辛くなったり、体がだるく重く感じたりする事はよく見られます。
乳児のお世話だけでも大変な事に加えて、母乳を与えるという事は、ママにとって負担が大きい事なのです。
◯ 母乳疲れはどうして起こる?
乳児が母乳を飲む頻度は、2〜3時間おきが平均だと言われています。
これは24時間毎日繰り返されます。
赤ちゃんが生きていくために、とても必要な事なので、やめるわけにはいきません。
そのため、当然睡眠不足になってしまいます。
そのために、だるさや眠気、疲労感を感じるようになるのです。
さらに、授乳の度に赤ちゃんを抱きかかえる必要があり、首の座らない乳児に対しては特に抱き方には注意が必要になります。
首の後ろに手を添えて、優しく扱わなければいけないので、手首や指も疲れます。
加えて、肩や腰にも負担がかかり、体中が凝る状態になってしまい辛いのです。
さらに、「母乳は血液」と言われていて、体に必要な栄養がたっぷり含まれています。
それを、自分の体から赤ちゃんに与えるわけですから、使用するエネルギー量はすごいのです。
生後2ヶ月の乳児が1日に飲む母乳の量は約800mlで、およそ520キロカロリーを摂取しているのです。
完全母乳で育てている場合、500〜800キロカロリーを母体からは消費しているといわれています。
平均的な体型の女性の消費カロリーを考えると、約700キロカロリー消費するには、
・ウォーキング 2.5時間
・ランニング 100分
・平泳ぎ 1時間
・テニス 2時間
・ボーリング 6時間
だいたいこれくらいの運動量が必要になります。
それを毎日です。
疲れて当然なのです。
母乳疲れは精神的にも疲れがくる
母乳疲れは、精神的にも疲労がたまります。
育児には様々な悩みがつきものです。
「さっき母乳をあげたばかりなのに、また泣き出した。どうすればいいか、わからない」
「母乳が足りているのかどうか不安」
「上手に飲ませられなくて、すぐに泣いたり、口を離したりする」
「夜中もしょっちゅう泣いて起きるので、眠れなくて辛い」
といった、母乳育児の悩みはよく聞かれるものです。
このように、体力面や精神面の負担の大きさから、疲れてしまう場合が多く見られるのです。
◯ 母乳疲れの対策は?
日々の育児は休む間もありません。
母乳疲れを少しでも和らげるには、簡単ではないでしょう。
ですが、うまく切り替える事で、少しでも改善するようにしましょう。
ポイントは4つです。
1.休息をとる
当たり前ですが、疲れたと感じたら休みましょう。
ほんの少しのあいた時間を利用して、くつろいでリラックスして体を休めるようにしましょう。
なるべく周りの人を利用しましょう。
2.睡眠をとる
赤ちゃんが寝てる間に自分もうまく睡眠をとりましょう。
昼間でも夜でもいつでも構いません。
気にせずに、寝れる時に寝るようにしましょう。
3.栄養をとる
ママの栄養状態が、そのまま母乳に影響します。
ゆっくり食べる時間も気力もないかも知れませんが、しっかりと食事をとりましょう。
母乳をあげている間は、ダイエットは禁物です。
食べ過ぎない程度にする必要はありますが、あまり食事制限をせずに、好きな物を美味しく食べましょう。
それが、ストレス解消にもつながります。
4.とにかくあまり気にしない
2〜3時間おきに母乳をあげる生活は、長く続くものではありません。
ほんの数ヶ月の事です。
一生を100年と考えたら、ほんの少しの時間です。
あまり神経質になりすぎずに、子供との時間を楽しみましょう。
もし、どうしても辛かったら、少し母乳をお休みしてもいいのです。
回復したらまた再開すればいいのだからと、気楽に構えましょう。
家族に頼るのも良いでしょう。
とにかく自分一人でかかえこまないで、友達や家族など信頼できる人に甘える事も時には必要です。
◯ 最後に
母子のスキンシップを深めたり、栄養を与え免疫力を高めたりと、母乳育児には様々な良い点があります。
反面、疲れや不安がつきまとうものでもありますよね。
決して無理しすぎず、うまく休息をとりながら、貴重な数ヶ月間を楽しんで下さい。